採算ラインは「窯の価格」だけでなく、原価率・販売価格・月の販売枚数でかなり変わります。ここでは小規模カフェ向けに、現実的な3パターンで回収目安を示します。
採算を見るときのポイントは、売上ではなく「1枚あたりの粗利」で回収することです。
ピザ窯代が120万円でも、ピザを120万円分売れば回収ではありません。材料費・燃料費・包材費を引いた後の利益で考えます。
まず結論
小さな飲食店・カフェで、ピザ1枚を 1,500円 で販売し、1枚あたりの粗利を 約1,000円 取れる場合、
導入費120万円なら、約1,200枚売れば回収できます。
25日営業で考えると、
12か月回収:月100枚、1日4枚
6か月回収:月200枚、1日8枚
24か月回収:月50枚、1日2枚
という目安です。
つまり、カフェでピザ窯を導入するなら、1日4〜5枚売れる設計ができれば、1年回収はかなり現実的です。
基本の計算式
回収に必要な販売枚数 = ピザ窯の導入費用 ÷ 1枚あたりの粗利
たとえば、
導入費用:1,200,000円
販売価格:1,500円
材料費:450円
燃料・消耗品:50円
1枚あたり粗利:
1,500円 − 450円 − 50円 = 1,000円
回収枚数:
1,200,000円 ÷ 1,000円 = 1,200枚
この場合、1,200枚売ればピザ窯代を回収できます。
1枚あたり粗利の目安
飲食店の原価率は30%前後がひとつの目安とされますが、業態や食材高騰によって変わります。日本政策金融公庫の飲食店向け資料でも、業種ごとに原価率・人件費率の目安を把握して収支計画を立てる重要性が説明されています。
ここではピザ1枚あたりの燃料・消耗品を仮に50円として計算します。
| 販売価格 | 原価率30% | 原価率35% | 原価率40% |
|---|---|---|---|
| 1,200円 | 粗利790円 | 粗利730円 | 粗利670円 |
| 1,500円 | 粗利1,000円 | 粗利925円 | 粗利850円 |
| 1,800円 | 粗利1,210円 | 粗利1,120円 | 粗利1,030円 |
小規模店では、ピザ単品を安く売りすぎると回収が遅くなります。
1枚1,500円前後で売れる商品設計にすると、採算がかなり組みやすくなります。
導入費別の回収シミュレーション
1枚あたり粗利を 800円・1,000円・1,200円 の3パターンで見ます。
回収期間は12か月、営業日は月25日で計算します。
| 導入費用 | 粗利800円/枚 | 粗利1,000円/枚 | 粗利1,200円/枚 |
|---|---|---|---|
| 80万円 | 1,000枚 / 月84枚 / 1日3.4枚 | 800枚 / 月67枚 / 1日2.7枚 | 667枚 / 月56枚 / 1日2.2枚 |
| 120万円 | 1,500枚 / 月125枚 / 1日5枚 | 1,200枚 / 月100枚 / 1日4枚 | 1,000枚 / 月84枚 / 1日3.4枚 |
| 180万円 | 2,250枚 / 月188枚 / 1日7.5枚 | 1,800枚 / 月150枚 / 1日6枚 | 1,500枚 / 月125枚 / 1日5枚 |
| 250万円 | 3,125枚 / 月261枚 / 1日10.4枚 | 2,500枚 / 月209枚 / 1日8.4枚 | 2,084枚 / 月174枚 / 1日7枚 |
この表を見ると、狭い飲食店やカフェでは、導入費120万円前後までなら1日4〜6枚で回収ラインに乗せやすいです。
一方で、250万円クラスになると、1日7〜10枚以上を安定して売る必要があります。ピザが看板メニューでない店には少し重くなります。
カフェなら「ピザ単品」よりセットで考える
カフェでは、ピザ単品だけで回収を考えるより、ドリンク・サラダ・デザートとのセット粗利で見る方が現実的です。
たとえば、
ピザ単品:1,500円
ピザ粗利:約1,000円
ドリンクセット:+500円
ドリンク粗利:約350〜400円
セット粗利:約1,350〜1,400円
この場合、導入費120万円なら、
1,200,000円 ÷ 1,400円 = 約858セット
12か月で回収するなら、
858セット ÷ 12か月 = 月72セット
月72セット ÷ 25営業日 = 1日約3セット
つまり、ピザ+ドリンクセットを1日3組売れれば、120万円の導入費は約1年で回収できる計算です。
これはカフェにとってかなり大事です。
ピザ窯の採算は、ピザ単体ではなく、客単価アップ装置として見るべきです。
回収期間別に見るとこうなります
導入費120万円、1枚粗利1,000円の場合です。
| 回収期間 | 必要枚数 | 月間枚数 | 1日枚数 |
|---|---|---|---|
| 6か月 | 1,200枚 | 200枚 | 8枚 |
| 12か月 | 1,200枚 | 100枚 | 4枚 |
| 18か月 | 1,200枚 | 67枚 | 2.7枚 |
| 24か月 | 1,200枚 | 50枚 | 2枚 |
半年で回収したいなら、ピザを主力メニューにする必要があります。
でも、1〜2年回収でよければ、カフェのランチメニューや夜カフェメニューとして十分狙えます。
追加人件費がある場合は要注意
既存スタッフで回せるなら、回収は早いです。
しかし、ピザ提供のために人を増やすなら、計算は変わります。
たとえば、
導入費:1,200,000円
12か月回収:月100,000円
追加人件費:月30,000円
メンテ・消耗品など:月10,000円
必要な月間粗利:
100,000円 + 30,000円 + 10,000円 = 140,000円
1枚粗利1,000円なら、
140,000円 ÷ 1,000円 = 月140枚
月140枚 ÷ 25日 = 1日5.6枚
この場合、1日6枚程度が採算ラインになります。
ピザ窯導入で失敗しないためには、
「既存人員で回せるか」
「仕込みを簡単にできるか」
「ピーク時に作業が詰まらないか」
を必ず見た方がいいです。
窯の種類によって回収難易度は変わる
Dogama K3のようなコンパクトな1枚焼き窯は、公式ページで炉内500℃まで上げられ、400℃・約2分の焼成が可能と説明されています。また、導入店コメントでは立ち上げ30分で400℃に達し、1日30枚近く焼く日もあると紹介されています。価格は設置条件に合わせた見積もり制です。
一方、電気式の高温ピッツァ窯では、マルゼンのCarino CPO-067が最高設定温度500℃、90秒焼成、税抜標準価格90万円、CPO-067Wが180万円と掲載されています。
つまり、採算面では、
| 窯のタイプ | 回収しやすさ | 向いている店 |
|---|---|---|
| コンパクトガス式 | ◎ | 小規模カフェ、居酒屋、バル |
| 高温電気式 | ○ | ビルイン店舗、ガス不可の店 |
| 本格大型石窯 | △ | ピザを主力にする専門店 |
| 薪窯 | △ | 観光地、郊外型、演出重視の店 |
小さな店ほど、最初から大型窯を入れるより、1日4〜6枚で回収ラインに乗るサイズの窯を選ぶ方が安全です。
採算を取りやすい販売設計
おすすめはこの形です。
| メニュー | 価格目安 | 狙い |
|---|---|---|
| マルゲリータ | 1,300〜1,500円 | 定番・入口商品 |
| 季節野菜の窯焼きピザ | 1,500〜1,700円 | カフェ向け・女性客向け |
| チーズたっぷりピザ | 1,600〜1,800円 | 粗利を取りやすい |
| ピザ+ドリンクセット | 1,800〜2,100円 | ランチ客単価アップ |
| ピザ+サラダ+ドリンク | 2,000〜2,400円 | しっかりランチ化 |
| 夜のピザ+ワインセット | 2,200円〜 | 夜営業・バル化 |
ピザ窯の回収を早めるなら、単品販売よりも、セット販売が強いです。
最終結論
小さな飲食店がピザ窯を導入する場合、採算ラインの目安はこうです。
導入費80万円:1日3枚前後で1年回収
導入費120万円:1日4〜5枚で1年回収
導入費180万円:1日5〜7枚で1年回収
導入費250万円:1日7〜10枚で1年回収
カフェなら、ピザ単品で考えるより、ピザ+ドリンクセットを1日3〜5組売るという目標にすると現実的です。
なので、導入前の判断基準はこれです。
「うちの店で、1日4枚売れるか?」
この答えが「はい」なら、コンパクトなピザ窯は十分採算に乗る可能性があります。
「1日8枚以上いける」なら、ピザを看板メニューにしてかなり強い売上ラインを作れます。
丸越工業株式会社(能登珪藻土研究会 会員)
このピザ窯を製造販売している能登珪藻土研究会の会員です。会員のなかでも丸越工業株式会社がもっともこのDOGAMAを販売設置していますので安心して相談してください。

